森の生活
会社を解雇され社宅を出ることになった山中慎一朗に否応もなく始まった釧路湿原鶴居村フォレストハウスでの森の生活。1992年ヘンリー・D・ソローとの出会いから始まった森の生活を振り返ります。
  〜森の物語〜
おばあちゃんの森 森のキモチの原点となったお話です。
カムイの森 森のキモチからの短編応募作品です。
森のキモチ 林業・森林セラピー・森林インストラクター・アイヌ・環境カウンセラーから学んだ森の物語です。
サード・ステージ 45歳で第3の人生が始まった男の物語。
  〜森のセラピー〜
北海道唯一・全国民間初の森林セラピー基地プライベートフォレストのプロデュース。富良野、札幌国際大学、北海道大学、ポー川史跡自然公園などの研究員・アドバイザーとしての中から生まれた山中慎一朗の森での過ごし方です。
  森づくり革命
15年間の森の生活から発見した新しい森づくりの提案です。林業から森林セラピー、森林インストラクター、環境カウンセラー、森林プロデューサーの中から生まれました。

2009年8月20日木曜日

森の生活「方言」〜森林プロデューサー山中慎一朗

 山に入る前に飯場で打ち合わせをする、最初は何を言っているのかほとんど理解できなかった。作業員のほとんどが50歳代以上の地元民だ。北海道弁で話が進む。私は何度も北海道には来ていて、よく使われる方言は理解していたからコミュニケーションには何の問題もないと思っていたが甘かった。

 ツネ、ヒラ、サワ、タイラ、ヤチ、ヒラマエ、ダッポ、サイメン、ガッポ、ドンコロ、バッコン、ハカマ等の林業ならでは呼び名と、シンコ、シコロ、セン、オンコ、ガンビ、タモ、アサダ、アオキ、ドスナラ、アオジナ等の林業で使われる木の名前が入り交じる。ゴウハン、セイカン、ヨウザイ、パルプ等の採材用語。ブル、デーヨン、デーサッンジュウ、フォーク、ハイドバン、ユンボ、トビ、ガンタ、クサビ等の道具の名前。スン、シャク、タン、チョウブ、リュウベと昔ながらの単位と、聞いたことのない言葉が飛び交う。

 方言というよりも専門用語で理解できなかったのだ。最初は全てが方言だと思い呆然とした。専門用語とわかればそれが何を指しているのかイメージして突き止めればよいのだ。作業員との会話で少しずつ理解することができた。

 ソローのように森の中で一人で生活しているのであればコミュニケーションはいらない。自分ひとりが納得していれば良いのだ。それが一派的になんて呼ばれているのかを知らなくても用途がわかっていれば生きていける。しかし、本当に森の中で一人で生きていけるのだろうか?ソローは2年3ヶ月の森の生活を過ごした。28歳からの2年3ヶ月である。そして45歳で結核により他界する。とても森の生活が成立したとは思えない。森の生き物と同じように、コミュニケーションのない生活は人にもあり得ないように感じる。

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